|
「とにかく、俺は、お大師さんの声を聞くまでは、やめられねえんだ」 ふたりとも70歳は超えていた。 「ほんとだよ」煙草の火を消すと、卓の上の駄菓子に手を伸ばした。
|
|||
|
|
|||
|
「親父が死んで、2年くらいしてからのことだよ。俺は、仕事、仕事の毎日で、その時も夜、仕事が終わって風呂に入り、炬燵で酒を飲んでたんだ」
「そのあと、こういうこともあったさ。 |
|||
|
「とにかく俺は、喧嘩だなんだで無茶しちゃあ酒を飲み、飲んじゃあ失敗しで、悪循環もいいとこだったよ。お四国に来てるのも、それじゃあいけねえと思ってからだ」 |
|||
|
気がつけばさっきまでかまびすしかった蝉の声がふっつりと途絶え、頭上に咲く百日紅の花が僅かな風にそよいでいた。…… 老爺の宿願は、そののち叶えられたのであろうか。 |
|||