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8/15日お盆の最中である。 普通乗用車が離合するには、狭い道に入りそうだったので、車を降りて 川沿いの道を歩いた。川には、鮎の姿がある。 生まれて初めて歩く、遍路道。同行してくれたのは、デザインナーの甲籐ちゃん。 異業種交流会で出会って以来3年、一緒に仕事をしてきた。私は広告屋なので、企画立てて デザインを発注する立場だった。 一度も飲みに連れていってない。 いろいろと辛いことが彼女の身を襲った。 どんどん仕事を増やしてやることが、私の務めだと思った。とにかく仕事を増やした。 お互いとても忙しくなった。遍路をしようと言い始めたのは、彼女だった。 何台も車が追い越していく。 途中座れそうな石を見つけては、休憩しながら、歩く。 登りが続く。 土佐湾、室戸岬も見渡せる。 海上に白い雲が広がっている。 昨日までよさこい祭りを躍ったその興奮冷めやらぬ、甲籐ちゃんと私、 「あの雲、熊がよさこいを躍っている様に見える」とはしゃいだ。 私達は今、空に近いところに居る。 ちょっとジャンプしても、空を飛んだと言えるのじゃないかと囁き会う。 「いったい地面からどのくらい離れれば、空なんだろうね。」 今、私達って雲の上の人? けぶった様に見える白い大気の群れが波に乗って近づいてくる。 海に落ちる雨だ。 雨が今 生まれてる!! 人間にできない技である。 こんなシーンを眺めることができただけで、ご利益である。 遍路路に川のせせらぎが聞こえる。赤いリュックが道ばたに置かれている。 誰か暑さに我慢できなくなって川に入ってしまったんだ、 蛇などいませぬ様に仏のご加護を祈った。 いろんな話をした、 「とにかく仕事しよう。良い仕事して死のう」と10年先輩である 私が結論を出すので、彼女は黙ってしまった。 夢がないかね。 夢の話をしようか、と言うと 甲籐ちゃんの夢は、「桜の山」と語り始めた。山一つ桜だらけ、どうですお客さん。 うん!! 投資できたらしよう。 で、山崎さんの夢は・・・? 考えている間に、寺に付いた。 4km歩いて着いた神峯寺(こうのみねじ)で、山からの清水を飲む。 綺麗になりますようにと、顔も洗う。 化粧もはげて、すっぴんになってはいるが、すごく綺麗になった。 仕事を本気でやっていて、自分の仕事に誇りを持っている人は、男でも女でも 美しいと思うと言うと。 うんと頷きながらも、で、夢は・・・と食い下がる。 「今、甲籐ちゃん連れて遍路できて 幸せだから、夢のようです」 今でない未来に夢を描くことをしなくなってどれぐらい過ぎただろうか? 以前は夢を描いていた。 夢・・・小説家になりたかったなー。そう言えば・・・。思い出したょ。 夢は叶うと思う。きっと夢は叶う。本気で小説家を目指していたころは、書いていた、 朝が来るまで、下手糞な文章を書いていた。出版社に送りつけた。 角川春樹さんの手紙を貰った。 本人が書いたものでは、なかったかもしれないけど、「頑張れ」は忘れていない。 いつ 止めたんだったか? 子どもが生まれて? 仕事を始めて。そう。商業広告屋になって、お金が貰えるプロになった。 以来小説は書けてない。 時間はタップリあった。 感動しなくなった。 仕事に感情をはさんではならない。 自分に言い聞かせた。エモーショナルな反応は「恥」だと思っていた。 女性が仕事で通用しないのは、そこだと思っていた。 何故?わからない。 感情的になって仕事をする女性を多く見すぎたため。 偶然にも甲籐ちゃんも私も血のつながらない母に育ててもらった。 美味しいご飯の炊ける、義理の母をお互いとても大切にしている。 他人の優しさ、おおらかさ、うつくしさ、きよらかさを毎日感じて育った。 ほんとうに お互いの義理の母を誉めあった。 そんな間柄は珍しい。 庭園の緑が美しい。 寺が改築中だったので、撮影はできなかったけど、記憶に留めることができた。 納経帳を買い納経してもらう。 白装束を買い、そこにも梵字を書いてもらおうとしたら、 納経所の人曰く、 「まだ1箇所だけで良い。死ぬ準備をするには、若すぎる」と。 いつかは私達も死ぬだ、今 良い仕事しよう。 そういいながら3年が過ぎたね。 桜の山一つ。桜は散っても記憶に残る。いつまでも。残る。この駄文が、納期に甘いがなかなか良い仕事をする甲籐ちゃんへのエールになれば幸いです。
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| 文 山崎あつこ |