|
「絵に動く手」 |
|
|
海に落ちる夕陽を見つめていると、詩人でありたい、画家でありたいと思う。 ゴッホの絵画を、「自然の方が真似ている」と思うくらいの瞬間を巡拝中何度か体験する。 清流吉野川の支流を見、あまりに透明なもので、裸になって飛び込むことのできる子どもであれたならばどんなに素敵だろうと思う。 自然の美しさは、瞬間である。 日は暮れなずみやがて漆黒の夜。 夜が明ければ、昨日と同じ景色は望めない。 何かが変わってしまっている。 その点画家はいい。 感じたものを絵にし、額縁に封じこめることができる。 立ち止まった瞬間を何度も再現させてくれる。 絵はいい。 この巡拝の旅で、私は画家に出会った。 城本敏由樹1946年生55歳。 勢いのある、生々しいくらいに性的な、存在感のある男である。 でかい絵を描く、太い線を描く、見るものを圧倒する強烈な絵だ。 憎々しい目をした「謎」と名ずけられた(シーラカンス150号)はNTTのテレホンカードデザインとして使われ、 今は美術館で静かにしている。 「鰉魚曼陀羅の世界」は、日本中にフアンが多く芸能界にも及んでいる。 城本氏は、今年の暮れに私立美術館を設立しようとしている。 絵を愛してくれる人や、画家を集め、夜な夜な語り合えるスペースを作りたいと言う。 12月になれば、愛媛県に芸術家やファンが集う場所ができるはずである。 自筆の紹介文をここに掲載しよう。
|
|
|
|
|
私は、代表作「鰉魚」もすごく良いと思うが、 1枚だけ飾られていた、「合掌する人の絵」をひどく気にいってしまった。 作中の人物は微笑んでいるようにも見えるし、怒っているようにも見える。 微妙な墨の濃淡で、大胆な構図であるにもかかわらず、品のいい繊細さを内包しているとわかる。 まさに釘付けになった、あちこちから見た、近づいたり離れたりしながら、 おもわず「合掌」している自分に気がついた。 なぜかわからない。 自然と手を合わせた。 そしてこの絵は私の物となった。 現金をほとんど持っていない、遍路の途中のことである。 城本氏の言う「まわりの方々も幸福になれるように」の願いは私には、充分伝わった。 山本専務のお誕生日の贈り物にさせて頂いた。 今、高知プリンスホテルロビーに飾って頂いています。 みなさんもご覧になれば、自然と掌をあわせたくなると思います。 お一人でも多くのかたに幸せが訪れますように。合掌 |
|
|
文 山崎あつこ |